心理学会に参加しました 2

投稿日:2015年10月6日

心理学会の報告です。いじめの「学校予防教育」の提案を聞きました。

いじめが一向に減少しない教育現場に提供するための、心理学的知見を応用した画期的な教育プロジェクトであるとのお話と受け止めました。

そのプログラムを取り入れた学校での効果性を、アンケートや・記述文章を分析・検証した、科学的根拠に基づいたものとのことでした。指定討論では、そのプログラムを教育課程の中のどの時間に実施するのか?と言ったものでした。

私は、中学校現場に34年間籍を置き、教育に携わってきた経験からその提案を聞いていました。

学校の先生は、発達心理学的知見をもっていないので任せられない旨の発表がありました。また、学校でのいじめや不登校の指導は、こどもたちの情動に響かないものなので、実効性が乏しく、このプログラムを活用して欲しいとの話でした。

理論的説明や指導案も、希望される方には無料提供されるということで、一度詳しく知りたいと思いました。

しかし、どうしても理解できないことがありましたので、ここで述べておきたいと思います。このブログを読んでいただいている方のお考えもまたお聞きできればと思っています。

理解できないことの一つは、学校の先生方は発達心理学的知見がないとの指摘です。多くの現場の先生方は、確かに心理学的知見を備えてはいません。しかし、⒑数年以上も様々な学年の子どもたちと接してきた経験からは、数冊の専門書を学んだ何倍もの経験知をもっています。

1学年の違いでさえ、多くの実例を挙げて説明することも可能でしょう。

2つ目は、プログラムの効果性についてです。アニメーションを活用したり、いじめを考えさせるストーリーが作られています。一部が紹介されていましたが、知恵と工夫の溢れた内容だとも思いました。子どもたちの情動に響くものとなっているとも思いました。それが、授業後のアンケートや記述文章に反映していました。

それでは疑問点は何かということですが、昨今、深刻化・複雑化するいじめや不登校の深層にある情動は、数時間或は十数時間の授業で響かされることはあっても、変動するのだろうかということです。

情動とは、そのこどもに本来的に備わり内在化したものではないのか、或は成育歴や家族関係、家庭環境などから長い年月を経て備わったものではないのか。だからこそ、様々な指導や関わりを通しても、なかなか現場の課題を減少させることが困難となっているのではないか。

アンケート等の変容で効果性を検証できる単純なものではないというのが正直な感想です。

厳しい批判に晒されても、学校現場では、多くの先生方がこどもに共感的な理解を図りながら、保護者と手を携えて課題に対応されていることを、私は知っています。

プロミングされた数種類の教育課程の実施で学校が変わるのではなく、それらを活用しながらも、目の前の子どもたちの刻々の変化に対応できる教師の力量に基づく指導でなければならないと考えます。

機械的、硬直化した指導は、かつての教育の法則化運動の衰退の轍を踏むのではないかとの危惧を感じました。

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