不登校と向き合う  <シリ-ズ> 第1回

投稿日:2014年8月22日

不登校について、様々な人々から、様々な立場から、そして様々な意見がある。自身の体験や親としての体験から、教師の立場から、第三者として、地域の子どもを見守る立場から、そして医師や相談機関、心理士として等々。いずれの声にも経験に裏打ちされた真実があり、間違ってはいない。しかし、不登校を続ける子どもや、その子どもを前に葛藤を続ける親にとって、そんな数多の声を聞く余裕すらないのも実情である。

 

私は、「今、ここに」葛藤の渦中にあるお子さんや親御さんに、直接話しかけている気持ちで、この記事を書いている。少しの手がかりになれば幸いである。

 

私の立場は教師であり、臨床心理士である。そして、それ以前に親であり、親友のお子さんの不登校を見守ってきた経験から、考えを述べている。

 

さて、不登校と言っても、いくつかのタイプが見られる。私は以下のように捉えている。文科省の分類に倣ったが、一部独自のタイプ分けとした。そのタイプにより、対応も変わってくると考えるからである。

第1のタイプは、発達障害等で学習に遅れがあり、授業が分からない、集中できないといったことから、学業不振を起因とするものである。また、そのことが要因となって、周囲の子どもから馬鹿にされる等の2次的障害によるケ-スも含まれる。

本人への特別支援体制の構築と共に、本人への心のケア-と、周囲の子どもたちの理解と協力が不可欠となってくる。

第2のタイプは、非行や怠惰によるものである。授業エスケ-プや、ずる休みから次第に、学校に行かなくなるケースである。最初は何らかの理由をつけて学校を休むが、家での怠惰な生活や、夜の非行による楽しみが優先してしまい学校に行けなくなってしまう。

生活のリズムを立て直すことが先決である。学校を休んだ日の家庭での過ごし方にル-ルを決め、非行や怠惰を許さない学校と家庭の連携が第1である。親と教師の連携強化は、ずる休みをする子どもにとって最大の脅威である。

第3は、子どもの学業以外の学校生活に起因する不登校である。友だち関係の崩壊(いじめ等)、居場所のない学校生活(安心・安全がない生活)、学級崩壊・教師反抗の状態化、部活動での不満、教職員とのトラブル等からの不登校である。

第3の理由の場合、真面目な子ども程、不登校の要因を明かさないものである。周囲に要因を求める前に、自身の弱点や不備を理由と考え、自身を責めることから始まるからである。理由が明らかにされない時に、大人が、しつこく理由を追及することは、かえってマイナスである。一層、口を閉ざすことになるから。

理由は分からないが、不登校の現象は始まるので、周囲からは注意深く見守ることが大切である。本人が信頼する第3者の大人に話を聞き出してもらうことも一つの方法である。しかし、何よりも先ず家庭であってもいいので、本人が安心・安全を感じられる居場所を確保することが先決である。

最近は、無料通信アプリ(LINE等)に絡む、いじめ・不登校が急増しているので、それを疑うことも必要である。このケ-スには、色々な要因が輻輳するので、解決にも時間を要することが多い。

第4の理由は、本人の無気力や不安等の情緒的な混乱に依るものである。

無気力の要因は、上記の1~3の理由からも生じるが、本人もその理由が特定できないケースも多い。所謂5月病もその一つである。或いは、厳しい受験競争の結果、燃え尽き症候群となるケースもある。

一方、神経症的な不安からの不登校がある。朝になると頭痛・腹痛が起こる。気分が優れないと言った症状である。こういった症状の要因も上記の1~3に起因しているかも知れない。しかし、本人はあくまで身体的不調であると考えている。

本人は、「学校に行きたい」が、行けない症状なのである。登校時間が過ぎたり、放課後にはケロッとしているというのも特徴である。

一般的には、不安を和らげるためのリラックスタイムの導入や、認知行動療法による不安の低減、不安階層表に基づいて段階的に行動を広げていくと言った療法が行われている。スク-ルカウンセラ-の活用など、利用できるリソ-スを活かしていくことを勧めたい。

私の親友のお子さんも中学3年生で不登校になり、大学(通信精)入学まで、引き籠もりの状態だったが、今はエンジニアとして活躍されている。親が、子どもの可能性を最後まで疑わずに支援し続けたのが良かったと、傍からみていて強く感じた。

 

今回は、不登校のタイプ分けで終わった。次回は、具体的な対応場面を描きながら、考えてみたい。

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