ブラジルの大統領が、コロナに感染した。ご本人は、「ただの風邪だ」と有効性が実証された訳でもない治療薬を飲んで、元気をアピールする映像が映りだされていた。
リーダーの一念が、国を創る。ブラジルの爆発的な感染の広がりも、リーダーの考え方が変われば終息に向かうかもしれないが、このままでは集団免疫に至るまで止まらないかも知れない。
一国一地域の感染拡大であっても、高度にグローバル化した現代社会では、それがあっという間に全世界に波及することは、「武漢」によって証明されている。その意味で、ブラジルの現状は看過できない。
東京にも、ジワジワと感染が広がっているが、政府もまだ「緊急事態宣言を出す状況にはない」と述べている。しかし、そのような認識で果たして大丈夫なのだろうか。
先の稿(2020.7,7)で、感染拡大が減少したのは感染対策を国民が自覚的に実行したことだと書いたが、その前提に医療機関に働く方々の献身的な働きがなければ実現できなかったことは、言うまでもない。自らの感染のリスクも顧みない医療機関に働く方々の使命感や勇気には、感謝と敬意を示す以外に方法が見当たらない。
未知のウィルスとの攻防は、未曽有の過酷な闘いとなっている。前線に立つ各分野の関係者には、相当の負担をお掛けしている。状況が少し落ち着いているとはいえ、未だ疲労も癒えていないのではないだろうか。
私が心配するのは、このような状況の中での2波3波の到来である。
それに備えて、医療機器やベット数、医薬品やマスク、防具服等、ハード面や物資面での充足は図られているのであろう。しかし、私は何よりも、先程迄、或いは今現在、最前線に立たれている人々が、十分な回復の暇もなく、再びあの過酷な状況下に置かれることになれば、心身両面において過重な負担を担うことができるのだろうか?という不安を抱いている。
1波では、振り返ることの暇もない闘いに従事できたとしても、2波3波では、同じ重圧に耐えることは極めて困難である。どんなに強いメンタルをもった人であっても、全力投球の後は、休息が必要であろう。無理な続投は、予期せぬ倒壊の危機を招くかもしれない。今は、前線で活躍した人々に、もう暫くの休息の時間を何よりも保障しなければならないのではないか。
その意味では、遅すぎない再宣言の発令を早急に準備しておく必要がある。感染が4月頃のような指数関数的増加となれば、医療崩壊はマンパワーの不足から想定以上のスピードで到来するかも知れないからだ。
医療崩壊が起きてしまうと、人々のマインドは急速に悪化し、医薬品類の奪い合いや、自粛警察の到来、信頼関係の弱化、疑心暗鬼からの相互の攻撃等、今まで維持できていた社会秩序の崩壊が始まる。これは1波の頃でも世界各地で起こっていた事態だ。
もう緊張を緩め、かってのような日常の復活をただ期待している時ではない。足元にまで迫っている再度のコロナ危機へ、もう一度きちんと対峙しなくてはならないと申し上げたい。
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