東京での感染拡大が止まらない。
これまで感染者がほとんどみられなかった県で、クラスターが発生している。
夏に入って休息しているように見えたコロナが、再び脅威を示している。
それにも拘わらず、市中には緊張感が乏しいように感じる。マスコミの報道の声のトーンも変わったが、緊急事態宣言の解除、政府の専門家会議の解散等、緊張感の減少には、いくつもの要因が考えられる。経済活動の復活への期待も大きいのだろう。
だが、以前、この稿でも書いたが、大阪の専門者会議での「自粛に意味がなかった」との一部委員の発言を機に、マスコミでの報道のトーンが変化した。緊急事態宣言発令の直前の頃とは、今は市中の雰囲気が大きく変わった。
一度緩んだ箍は戻らない。6月に入った頃から、2波3波への警戒感は大きく後退したように思える。
4月上旬、感染者数が日ごとに増えていく状況に、人々は強い危機感を感じていた。同時に、アメリカやイタリア、スペインなどの医療崩壊の様子が報じられ、日本の先行きにも皆が不安を持った。有名人の訃報のニュースは、瞬く間に日本中を駆け巡った。緊急事態宣言の発令を待たずに日本中に感染予防の徹底と行動自粛の機運が広がった。緊急事態宣言は遅すぎたの声も多く聞かれた。緊急事態宣言の発令は、更に市中の気持ちを引き締めたのだ。
このような国民の意識であったがゆえに、緊急事態宣言以前に、感染者数の減少傾向が現れたのは当然のことだ。発令を予想し、いち早く行動を開始したにすぎない。それを、「発令時には、感染者数が減少傾向にあり、発令の意味はなかった」と断じるのは、間違っている。発令は、その行動制限を確実に後押しをした。もし、発令がなければ、目先の減少傾向に安心して、再び増加に転じたことは十分に想像ができる。
K値を用いて「対策の効果を断ずる」という理屈が未だに理解できないが、それを提唱された先生に、この1週間の東京都の感染者数をもってK値に基づいた今後の予想を是非教えて頂きたい。
今日は、梅雨前線が停滞し、日本各地に豪雨被害をもたらせている。被災地では、テレビからの逐一の情報収集が、生命を守る大きな手掛かりとなっている。
しかし、朝のワイドショーでは、今日もまた、気象予報士の解説に続いて、いつものコメンテータが、気象に関する知識はないと断りながらも自説を述べている。視聴者は、何の科学的な根拠も持たない解説者(コメンテーター)の意見を一方的に聞かされなければならないのだろうか?
多くの命に関わる情報提供については、その解説も含めて、専門家を結集し、正確を期した報道に徹すべきである。専門家だからこそ、分からないことは分からないと伝え、その時点で行える最善の判断・行動について、理解可能な方法で、語らなければならないのではないか。
昨日まで、コロナのことを熱く語っていた同じ人物が、今日は災害について熱く語る姿に私は強い違和感を覚えた。コロナ報道での専門家でもないタレントやコメンテーター達の聞きかじりや受け売り、独りよがりの確信等の発言を垂れ流し続けた多くの報道番組の景色を思い出してしまったからである。
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