ひきこもり問題 行政は、外部委託ではなく、専門部署で対策に取り組まねばならない。
投稿日:2025年5月6日
「ひきこもり」全国推計146万人 50人に1人
15歳~64歳の生産年齢人口において推計146万人、50人に1人がひきこもり状態であることがわかった。また、5人に1人がコロナ禍の影響を理由に挙げ、ひきこもり状態になったきっかけは「退職」と答えた人の割合が比較的高いことなどから、何等かの社会情勢や社会的要因から、ひきこもりは、誰もがいつからでもなりうる状態像であり、自分や家族とも無関係ではないことが改めてデータで示されたのではないかと考える。
2023年4月4日 「特定非営利活動法人 KHJ全国ひきこもり家族会連合会」より
ひきこもりに関する相談を受けました。大学を卒業し、大手企業に就職した青年が、休職をして実家に帰ってきました。ほとんど自室に籠って、今では、食事も家族とは食べなくなりました。どのように声を掛けたらいいのでしょうか?という、ご両親からのご相談です。
当初は、ゆっくり休ませてあげましょう。休養が大事です。と、お話をしました。食事の時間は、ご両親と一緒にされていました。その間も、ご両親は心配をしながら、静かに見守ってあげられていました。しかし、期間が過ぎても、息子さんに変化はありません。
むしろ、一緒にしていた食事の時間も、だんだんと一人で部屋に閉じこもってされるようになりました。客観的には、休職されるまでのご本人の傷つき経験を鑑みると、もう暫くの期間が必要かもしれないと思いながらも、ご両親の不安感には十分に理解できます。
ただ、ひきこもりの当事者には、静観するだけでは進展が期待出来ない事も多くみられます。事実、今回取り上げた146万人の中で、40歳を超えるような人々の中では、引きこもり状態が5年以上、中には30年を超える人が多く存在すると報道されています。
先のご両親も、このままではいけないと、行政への相談を試みられました。(ご両親は、離れた他の自治体からのオンラインでのご相談で、当室での、直接的な対応が難しかった)
ご両親は、「ひきこもり 相談 ○○県」と、検索されました。出て来たページは、正直、行政のページらしく、シンプルで、そして何か冷たく感じました。
そして、相談先と紹介されていた様々な個所が、外部委託の施設でした。施設の紹介は有難いのですが、ご両親が期待していたのは、先の見通しのない現状について、ともかく話を聞いて欲しいとの思いでしたので、施設の紹介は、次の段階ではないかとの思いでした。
多くの行政機関が、ひきこもり問題については、外部機関に繋げる形で、対応しています。外部機関は、それぞれの得意な分野と方法で、相談者を受けています。それだけに、自分にフィットすれば、大変力となります。一方、違和感を感じてしまうと、遠のいてしまいます。
行政機関は、様々な国民や地域住民へのサービス機関です。それ故、様々なニーズや願い、希望に対応しなければなりません。ひきこもりの状況や原因も千差万別です。ひきこもり対策は、柔軟性が肝要です。一人ひとりの状況を把握し、それぞれに必要と考える支援を模索しなければなりません。その支援も、効果が無かったり、拒否されたりした場合は、速やかに変更したり方向転換が必要です。
その為には、多くの支援者の様々な意見や知恵の切磋琢磨が必要です。
一定の、外部機関への丸投げの現状では、効果は限定的です。広がり続けるひきこもり問題を放置するのは自治体の弱体化となります。
ひきこもりを重大事案として、自治体の首長クラスの責任者を立て、プロジェクトチームを立ち上げて、外部委託を制限して、対応して欲しいと思っています。
以下のブログも読んでいただければ幸いです。
2021.1.11 「ひきこもり」・・・呼び名を変えませんか?ネスティング
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