民主主義崩壊のトリガーイベントにならないように

投稿日:2025年10月21日

自民と維新の連立に向けて、維新が主張する衆議院の定数の削減が、一躍脚光を浴びています。実現すれば、維新が従来主張してきた、「身を切る改革」の実現として、大きな成果となります。

しかし、選挙制度は、民主主義制度の根幹を成すもので、連立の取引に利用されるべきものではありません。

小選挙区制度の衆議院の各小選挙区では、3人以上の立候補者があった場合は、当選者の獲得少数より、落選者(全員)の獲得票数の方が多くなるのが普通です。つまり、死票が多く、多数決とは言えない状況が生まれているのです。その是正として、また、少数政党の政治参加の機会となるように比例代表制が導入されています。

今回、定数削減を、比例定数のみを対象に取り上げられていますが、議員定数を削減するのであれば、選挙区の定数と比例区の定数割合いの調整や、小選挙区制度の見直しも含めて、制度の抜本的な議論が必要です。

選挙制度が、国民的論議を経ないで多数党に有利な制度に決せられることは、独裁政権を作り出すことを可能とし、民主主義の破壊を意味します。

その具体例は、ロシアのプーチン大統領の長期政権です。

ロシア憲法では、大統領任期は2期8年でした。2008年任期を終えたプーチン氏は、自身は首相となって、傀儡のメドベージェフ氏を大統領に就け、実質政権を維持しました。その後、2012年に大統領に返り咲き、その時、任期を4年から6年に変えたのです。そして、2018年に再選され4期目に入りました。更に、2020年に憲法に規定されている大統領は2期までという制限については、現職のプーチン大統領には適用しないという条項を定めました。結果、2024年に5期目の大統領となり、彼の任期は2036年まで可能となったのです。合法的に、長期独裁政権を確立しました。

新政権が発足して、これまでに実現できなかった新発想の政策が展開されることを期待します。しかし、新政権を守るために、数の力によって都合の良い法律や制度を築いて、従来大切にされてきた、民主的ルールや人権擁護の歴史を壊してはならないと思います。

新政権の発足が、日本の民主主義崩壊のトリガーイベントとならないことを願います。

 

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