増え続ける 不登校生  “居場所”が必要

投稿日:2024年12月15日

不登校生が急増している。特に令和3年度からの3年間の伸びが著しい。令和2年度は、

コロナの意感染拡大によって、前年度の臨時休業から引き続いて5月下旬まで、学校が休みとなっていた年だ。学校再開後も、体調に異変がある子どもは、登校を控え、学校で熱が出ればすぐに帰宅させる対応をしていた。

また、感染を不安に思う子どもたちの自宅待機についても、家庭の判断に委ねる措置が取られていた。

コロナが始まるまでは、教室の空席については、クラスの誰もが何らかの意識を持ってみていた。しかし、今では、空席があることが普通となって、気にすることが無くなってきた。そのことが、学校を休むことへの抵抗感が低くしたことは否めない。

 

また、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律(平成28年法律第105号)」により、多様な学び方が認められるようになった。そのこと自体は、学びたくても学校に行けない子どもたちに学習機会を保障するものであり、意義あることだ。

しかし、そのことが多様な学び方も選択できないままに、家に閉じこもっている子どもたちを見捨てることに繋がってはならない。学校に行かないという選択肢を認めても、その子どもが、どのような学びができるのかまで、私たちは保障しなければならない。

 

学校現場に於いて、不登校生は急増している。しかし、学校以外に、学びの場所を見つけることのできる子どもは決して多くない。それ以前に、学校以外の学びの場所を見つけるための相談にすら応じられない子どもの方が遥かに多いのが現実だ。

不登校生の急増する現状では、学校に行けなくなった子どもたちには、学びの場以前に、彼らの“居場所”を見つけることが必要ではないだろうか。

“居場所”は、「多様な学びの場」となっている市町村の教育センターやフリ-スクールや私施設に置いても構わないが、“居場所”は、「学びの場」以前の役割を担う場所と考えている。

具体的に説明したい。

「学びの場」は、学校に代わって、「学ぶ」場所である。カリキュラムや活動時間は、フレキシブルな運用が認められることが、学校との違いである。しかし、教育プログラムの設定や教育環境、教員の有資格等の制限もある。

“居場所”は、文字通り、不登校生が、安心して、気を遣うことなく、自由に留まれる場所を意味している。ただ、その場所は自分の占有物ではないので、複数の利用者が、お互いに落ち着いて、安全で、ゆっくりと時間を過ごせるための最小限のルールやマナーを守ることは求められる場所である。周りの理解を得られる範囲での、行動や服装、言動、飲食(=所によっては制限も必要)が認められる。

 

不登校生の状況によって、その受け皿としては、「学びの場」と“居場所”の2つの場所が必要である。特に、現況に於いては、“居場所”の確保が急務であると考える。

 

今年度から、各学校に不登校生の対応に当たる「校内支援員」が配置されたのは、大きな前進ではあるが、その狙いは、上記の「学びの場」つくりに重点が置かれているように思う。今、子どもたちにとって、彼らの“居場所”を設定することが、必要ではないか。

 

それでは、今彼らに必要とされる“居場所”は、具体的にはどのような場所なのか?

  • 子どもたちが、自由に(勉強、会話、PC⦅ネット制限は設ける⦆、読書⦅漫画有り⦆、

休息、遊戯⦅ボードゲーム、将棋、トランプ等⦆)などをして過ごせるための空間がある。

  •  空間は、上記の自由な活動を、参加人数に見合った広さと、設備(机、椅子、PC⦅タブレット可⦆、ソファー等)、用具等を準備する。
  •  参加形態(登下校時間等)は、自由とするが、事前のプラン(参加日等の予定)は設ける。但し、受け入れ時間内におけるフレキシブルな対応は可能とする。
  •  施設内の利用は、複数学年の子どもたちによって構成される。子どもたち同士の、交流や協働、学習を奨励する。子どもたちの自己肯定感を育む為、一人一役を与える。
  • 子どもたちを見守るための大人(職員、保護者、大学生、地域ボランティア、敬老会員等)を1人以上配置する。不登校生対応の“居場所”故に、活動時間は、学校の登下校時間内とする。
  •  以上のような条件を鑑みるならば、“居場所”の設置場所は、小中学校内、公民館、図書館、自治会館、地域公共施設内、学習塾(主に放課後の運営)内に、設置されるのが望ましい。上記⑤、⑦の責任者と、該当児童生徒の学校長との間に於いて、利用規約を設定する。
  • 子どもたちには、学校安全協会等、児童生徒への保険制度を適用する。
  •  運営責任は、原則、上記⑤、⑦、学校長に属するが、総括的には、行政活動の一環であることを位置づけ、善意で支援・協力する職員や施設に、責任が付加されないシステムを構築する。

以上のような条件からは、実質、学校内に“居場所”を設置することが望まれるが、近隣の施設も有効に活用する。そして、”居場所”から「学びの場」への意向を目標とする。

 

 

 

 

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