子どもには無限の可能性が潜んでいる

投稿日:2024年9月2日

1学期に、特別支援学級の小学校1年生のA君との出会いがありました。4月に学校を訪問した時、今年の新入生に目を離せない子が居るとのお話でした。6月に初めて、彼と出会いました。先生に手をつながれ、教室を徘徊しています。手を離すと教室を飛び出す勢いです。自席にはなかなか座ろうとはしません。教室の扉を閉めて、先生は扉付近で待機し、手を放します。

「A君」と呼び掛けても、知らん顔で教室内を動き回っています。先生とのコミュニケーションはありません。教室のコーナーにある遊具を触っています。何か、ぶつぶつと言っています。担任の先生によると、聞きおぼえた外国語のフレーズだそうです。フレーズは勝手に、声に出てくるようです。彼の動きから、確かに、目を離せないとの印象でした。

7月になって、1か月ぶりにA君の教室を覗きに行きました。今日は比較的に落ち着いている様子です。丁度、休み時間が終わって4時間目の授業の始まりです。同じ教室の他学年の児童は、交流教室に出向き、教室はA君と担任の2人です。

「A君、勉強始めましょう」担任の呼びかけで、立ち歩いていた彼は、自席に近づいてきます。「あいさつをします」の担任の声で、A君が「4時間目の勉強を始めます。礼」と号令をかけました。担任の先生と、挨拶を交わしています。今日は落ち着いていると思いました。

「算数のドリルをします」の先生の声で、A君はドリルを出して、準備します。1~10までの数字を、最初は点線をなぞります。その下欄には、練習用の空欄が並んでいます。今日は黙って、ドリルに取り組んでいます。

点線のなぞりを終えて、次は上の数字を見ながら空欄に、数字を書き込む練習です。1,2,と書き進めて7迄来ましたが、8が、書けません。鉛筆がストップしました。担任が8の書き始めの起点を、赤ペンでポツッと・を打ちました。するとそこを起点に8を書き上げ、その後はスムーズに10まで完成です。

「もう1回書きましょう」の指示で、2回目の練習ですが、また、7でストップ。また、赤ペンで、起点を打つと、その後はスムーズに仕上げます。私はその様子を観察していて、そうか、8の数字の書き出しが分からなかったのだと、気付きました。

「もう1回書きましょう」と。3回目の練習です。今度は。7で止まりません。8もスムーズに書き上げました。なんと、2回の練習で8の数字が自力でかけるようになりました。驚異的な進歩だと思いました。

その後、彼は給食の準備の為、交流クラスに行きました。A君が交流教室に行った後、担任と話をしました。たった2回の練習で、8の字をマスターしたことに、驚きを伝えると、担任も最近の彼の成長は目覚ましいと言われます。

算数ドリルは、実は家ではお母さんが毎日付きっ切りでさせているそうです。家ではやっていたことが、以前は学校ではできなかったけど、最近は学校でもするようになったとの事。授業前の挨拶も、交流学級で他の児童がしているのを真似たのでしょうとのことです。元々、外国語のフレーズを覚えるなど、記憶力は問題がなさそうです。

入学当初は、コミュニケーションも取りずらく、手のかかるとの印象が強かったのですが、最近は色々なことができるようになってきたそうです。

私も、この1か月間の変身ぶりから、彼の成長を強く確信しました。陰での母親や担任の努力はありますが、こどもには無限の可能性があることが確信させられた一コマでした。

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