他者を批判する心理について考えてみよう。
1 批判する人の心の中には、憤り・正義感・怒り・軽蔑・嘲笑などの様々な感情が生じている。
2 他者の生き方や価値観が、自身の考えと齟齬がある時、それを許せない怒りがある。
3 間違ったことは許せないという、道徳心や正義感が生まれている。
4 批判する自分は、他者よりも優れているという優越感がある。
5 反対に、他者に対する羨望や嫉妬の感情を抑えるために、弱身を見つけて攻撃している。
6 不安やストレスの感情を、他者批判をすることで消化している。
7 解消できない劣等感を、他者を貶めることによって、転換しようとする。
では、何故その行為(他者批判)はエスカレートするのか。
1 批判は、上記の様々な理由から開始されるが、1回では、効果が感じられないと、更に繰り返される。
2 繰り返されることでも効果が無ければ、次第に過激な表現となってくる。
3 過激な表現になって、その効果が認識されると、更に過激で頻繁な行動となる。
4 SNSの匿名性が、その行為に制御をかけることを阻止している。
5 匿名性で、自身の安全性が担保されていると認識し、エスカレートが止まらない。
6 状況を先導しているのが、自分であることの秘密が、更に精神的高揚感を促進する。
7 「いいね」やリポストされることでの自己肯定感が高まり、更なる拡散を期す
他者批判に至るには色々な背景があるが、その根底には、不安があるのではないか。
戦争や自然災害、コロナや経済不況といった社会情勢の中で、人々は慢性的に不安状況に置かれている。
不安の解消には、運動やリラクゼーションなどの健全な対応の仕方もあるが、今、人々が抱えている不安は、自身の対応力では解消できないレベルである。それ故、人々は、無意識のうちに過激で不健全な対応に走っているのではないか。例えば、過度の飲酒や薬物の乱用や暴力行為などもその例である。
先ほどの不安は、暗雲の様に私たちの頭上に広がっているが、生活は日常的に行われているので、大体の人は、いきなり違法な対応に走る訳ではない。
頭脳は冷静に、しかし感情は揺れながらの対応の例が、SNSの他者批判ではないだろうか。他者批判の行為を起こそうとした時、自身の姿を一端俯瞰してみたい。
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